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Trademark Review | October 2014 (Japanese)

電動歯ブラシのデザインが商標と認識されていることを証明できなかったPhilips

Philips社は、自社の電動歯ブラシのベースアセンブリのデザイン (以下の図を参照) を商標として登録しようとしていた。

製品デザインは本質的に識別性を有するとはみなされないが、商標法2条(f)に従い識別性を獲得していることを証明できれば登録できる場合がある。

製品デザインが識別性を獲得していることを証明するために堤出する証拠は、商品全般ではなく、出願商標中に具現化されている特定の構成の宣伝と認識に関係するものでなくてはならない。

出願人は、識別性を獲得しているという主張を裏付けるために、以下のような証拠を堤出した。

  • 出願商標が10年以上使用されてきたという使用宣誓書
  • 出願人が「実質的に同じ」と主張する取り消された登録に対する所有権の主張
  • 2002年から2011年の間に米国内で7,200万個を超える出願人の商品が販売されたことを証明する証拠
  • 出願人の商品に「適合するように設計された」出願人の競合他社の製品パッケージの見本

審査官は、製品デザインが識別性を獲得していることを出願人が証明できなかったことを理由に、登録を拒否した。TTAB (商標審判部) は審査官の査定に同意し、少なくとも以下の理由により製品デザインの登録拒絶を支持した。

第一に、TTABは、有効期限の切れた登録に依拠することを認めなかった。

第二に、TTABは出願人の売上に関する証拠が「薄弱でない」ことを認めたが、特に製品デザインに関しては売上の多さが必ずしも識別性獲得の認定につながるとは限らないと判断した。欠けていたのは、売上と当該の製品デザインを宣伝する出願人の広告との間に関係があることを示す証拠であった。製品の画像を広告に含めているだけでは、消費者がそのデザイン特徴を商標と認識していることを証明するのに十分とならない。

第三に、出願人が提出した、競合他者が替え歯ブラシを売るために当該の製品デザインを自社製品のパッケージ上に表示していることを示す証拠は、説得力に欠ける。TTABは、この証拠は、出願人のベースアセンブリのデザインを模倣しようという意図を証明するものではなく、むしろ競合他社の替え歯ブラシが出願人のベースアセンブリ製品の代替品として機能することを証明したに過ぎないと判断した。

In re Koninklijke Philips Electronics N.V., Serial No. 85092079 (T.T.A.B. September 26, 2014) [先例となる].


塩漬けにされてしまった「MCSWEET」:「MC」商標ファミリーとの混同と希釈化のおそれを理由に野菜のピクルスに使用される商標「MCSWEET」の登録をTTABが拒絶

McSweet, LLCは、野菜のピクルスに使用する商標「MCSWEET」の登録を出願した。 異議申立てにおいて、McDonald’s社は、自社が登録している11件の形態素商標「MC」の希釈化と混同のおそれがあると主張した。

McDonald’s社はまた、「McRib」や「McMuffin」などのように「MC」の後に普通名称または記述的名称を結合した一連の商標の「ファミリー」を自社が所有しており、さらに「MCDONALD’S」と「MC」商標のファミリーが著名であると主張した。商標ファミリーは、混同のおそれを証明するのに有利な追加要素となる。TTABは商標ファミリーの主張について集中的に検討したが、「MCDONALD’S」商標の著名性が「MC」商標ファミリーの著名性にも寄与していると考えた。これらの商標の広範な使用と宣伝に基づき、TTABはMcDonald’s社が「MC」商標のファミリーを所有しているという事実を認めた。米国内にあるMCDONALD’Sの14,000軒に上るレストランを1日2,600万人の顧客が利用している事実も含めた証拠に基づき、TTABは、「MC」商標ファミリーには混同のおそれがあると判断する上で十分な著名性があると認めた。TTABは、「MCSWEET」は「MC」商標ファミリーに類似しており、両者の商品には少なくとも互いに関連があると判断した。TTABは、いずれの関連要素も混同のおそれがあるという判断を裏付けていると判断した。

TTABは混同のおそれありと判断したが、「MCSWEET」が「MC」商標のファミリーとしての特徴を不鮮明化することによって、この著名な商標ファミリーを希釈化するというMcDonald’s社の主張についても検討した。TTABは、「MC」商標ファミリーはMcDonald’s社の商品やサービスの販売元であることを指すものと一般消費者に認識されていることから、希釈化のおそれがあると判断する上で十分な著名性があると認めた。一方、出願人は、「MCSWEET」の商標を少なくとも2006年から使用してきており、一部の商品には1990年から使用していると主張した。しかしTTABは、出願人による「MCSWEET」の最先の使用よりも前である少なくとも1986年から使用を開始している自社の商標に十分な著名性があることをMcDonald’s社が証明したと判断した。

McDonald’s社は、商標が不鮮明化により希釈化されるおそれがあることを証明するために、消費者アンケート調査結果を堤出した。 この調査結果は、回答者の67%が第一に「MC」という接頭辞のため「MCSWEET」をMcDonald’s社と関連付けたことを示していた。

よって、TTABは混同のおそれがあると判断し、さらに、「MCSWEET」がMcDonald’s社の「MC」商標ファミリーの識別性を弱めるおそれがあり、したがって不鮮明化による商標の希釈化を生じさせる可能性があると判断した。

McDonald’s Corp. v. McSweet, LLC, Opposition Nos. 91178758 and 91192099 (T.T.A.B.September 26, 2014) [先例となる].