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Trademark Review | December 2014 (Japanese)

TTABが商標法66(a)に基づく登録の放棄を申し立てる場合のルールを設定

VENM社は、ダンス衣装に使用する「VENM」という商標の登録を求めている。Dragon Bleu社は、3件の先登録に基づき「VENM」の商標登録に異議を申し立てた。VENM社は、詐欺、不使用、放棄を理由に、Dragon Bleu社が申し立てた登録3件すべての取消しを求めた反訴を提起した。審判部の本件審決は、VENM社の反訴の却下を求めたDragon Bleu社の申立てに関するものであった。

VENM社は、詐欺を理由にDragon Bleu社の登録のうち1件の取消しを求め、Dragon Bleu社が登録を得るためにPTOに対して重要な虚偽の陳述を行ったと主張した。Dragon Bleu社は、先登録に基づいた出願の拒絶査定を克服するために、出願中の対象商品を武道関連の衣料品のみに限定することに同意していた。VENM社は、DRAGON BLEU側にはこの商標の使用または権利行使を武道着だけに限定する意思はなかったため、同社のPTOに対する陳述は虚偽であったと主張した。審判部はこの主張を受け入れず、出願中の商品の限定は、その商標の用途または商標権の行使を限定するという約束ではないと判断した。したがって、虚偽の陳述がなされたことにはならない。審判部はまた、審査官は商品の限定表示に基づいて「DRAGON BLEU」という商標の登録を許可する決定を行ったのであり、この商標の用途を制限するという約束に依拠したとは考えられない、と判断した。

VENM社は、不使用を理由に、申し立てられていた登録のうちの2件の取消しを求めた。しかし、この2件の登録は、米国商標法66(a)に基づいて提出された保護延長請求に基づいて許可されたものであった。66(a)に従えば、商業における使用は商標登録の必要条件ではない。したがって、審判部は、不使用を理由とする取消し請求は「法的に不十分」であると裁定した。

最終的に、VENM社は商標の放棄を理由に、申し立てられていた登録のうちの2件の取消しを求めた。商標は、再開の意思なく使用が停止されている場合には、放棄されたものと見なされる。連続して3年間の不使用は放棄の一応の証拠となる。この2つの商標の登録は66(a)に基づいて許可されたものであったため、登録許可前の商標使用歴は必要とされなかった。ただし登録後には、Dragon Bleu社は放棄と見なされるのを避けるために登録商標を使用しなくてはならない。審判部にとって、66(a)に基づく登録に関する放棄の主張に対して不使用期間の算定を起算できる最前の時点がいつであったかを判断しなければならなかったのはこれが初めてであった。

審判部は、Imperial Tobacco Ltd. V. Philip Morris Inc.におけるFederal Circuitの判決を検討した。同判決においてFederal Circuitは、44(e)に基づいて(外国での登録に基づき)許可された登録については、3年の不使用期間の起算点は登録日より前にはならないと判断した。審判部は、66(a)に基づく登録のレビューは44(e)に基づく登録に関するものとよく似ていることから、66(a)に基づく登録の取消し請求では、登録日以降の起算点から連続して3年以上の不使用、または再開の意思のない登録後の不使用を申し立てる必要がある、と判断した。

Dragon Bleu社の登録は、VENM社がその反訴を提出した当時、まだ登録から3年に達していなかった。したがって、VENM社は、使用の再開あるいは開始の意思がなかったことを証明する事実を申し立てるよう要求された。これに対し、VENM社は、Dragon Bleu社が出願書に用途として挙げた商品の全部または一部を同社のウェブサイト上で表示しておらず販売の申し出もしていないと主張したのみであった。これは、66(a)に基づく登録の取消しを求める申立てとしては不十分であった。

審判部は3件の請求をすべて却下したが、VENM社に放棄を申し立てる修正反訴状を提出する猶予を与えた。

Dragon Bleu (SARL) v. VENM, LLC, Opposition No. 91212231 (TTAB December 1, 2014) [先例となる]


連邦最高裁に係属中の商標訴訟2件に関する新情報

連邦最高裁は、2004年以来、実体に関する商標訴訟の判決を下していないが、現在2件の商標訴訟が最高裁に係属中である。B&B Hardware Inc. v. Hargis Industries Inc.では、最高裁は、混同のおそれに関するTTABの先審決により、後日連邦裁判所が侵害訴訟において下した相反する判決が排除されるべきかどうかを裁定する。最高裁での本件の口頭弁論は122日に行われた。

Hana Financial Inc. v. Hana Bankでは、最高裁は、企業が商標の元の使用開始日を維持しつつその商標にわずかな変更を加えることを許す「tacking(使用期間の加算)の問題について検討する。具体的には、「tacking」が判事によって判断されるべき法律問題であるか、それとも陪審によって判断されるべき事実問題であるかを裁定する。最高裁での本件の口頭弁論は123日に行われた。